くたびれたギターストラップを補強・修理してみる

定番人気のストラップです

なんか良いもの無いかな?と立ち寄ったハードオフで珍しく良いものを見つけました。フェンダーのVintage Tweed Strapです。もちろん中古ですがお値段400円とお買い得。

多くの場合はワクワクしながら入店して手ぶらで店を出てくるのですが、希にこういうお買い得品が見つかるからついつい足を運んでしまいます。

ただし中古品ですので相応の使用感があります。
ストラップに於ける使用感といえば、ストラップピンを通す穴。

穴の周囲が捲れています
裏側

前オーナーはアコギで使われていたのでしょうか、フロント側の穴には革紐が通されていて穴自体はキレイな状態です。

リア側はご覧のような有様で穴がカパーっと拡がってしまっている状態。

ギターストラップではこの部分に革とか合皮が用いられることが多いですよね。オールレザーのストラップは当然ですが、1000円~くらいの比較的安いビニール製のストラップでもこの部分だけ革だったりします。それもペラペラの柔らかい革。
お世辞にもしっかりとした革ではないので、使用しているウチにこの穴に負荷がかかって拡がっていくわけです。

ある程度ギターを弾いていれば誰しもお気に入りのストラップというものを持っていると思います。
お気に入りのストラップ、思い入れのあるストラップでも使っていくウチに徐々に穴が拡がっていつかはユルユルになってしまいます。
そうするとストラップピンから外れるようになってしまい、ギターを支えてくれなくなり、使い物にはならなくなってしまいます。
ストラップ部分はなんの問題も無いのに、穴が緩くなっただけで用済みとせざるを得なくなってしまう。悲しいことです。
このフェンダーストラップもこのまま使い始めるとそう遠くない未来に用済みとなってしまうのかもしれません。

というわけでなんとか補強できないものかとチャレンジしてみました。
チャレンジするにあたっては知り合いの鞄職人さんから作業場所と道具を提供していただいています。
「レザークラフトが趣味です」といったレベルではなく、長年に渡って手作業で鞄・バッグ・革小物を作り続けてきたベテラン職人さんの冷たい視線を浴びながらの作業です。

手元に転がってたのが黒だったので

職人さん「本当なら茶色い革の部分をそっくりそのまま取り替えちゃうのが簡単なんだけど、同じ色合いの革やミシン糸が無いから別の色合いになっちゃうな」

そりゃ困ります。ギターに取り付けちゃえば目だ立たない部分ではありますが、なるべくオリジナルの風合いは残したいです。

というわけで黒い革のハギレを頂戴しました。裁断した革の余った部分をハギレと言うんだとか。

素人作業なので真っ直ぐ切れません

ハギレをストラップの革部分と同じ形状に裁断します。
当初はストラップの穴の周囲だけ補強すればいいかと思っていたんですが、「それじゃ補強してない部分に負荷が集中するんじゃない?」という職人さんの言葉に従い全体的に補強することにしました。

肌色の薄い紙状の物が芯材

分けていただいたハギレの革が比較的薄くて柔らかめだったため、芯材と呼ばれる革の強度をあげるための材料を提案していただきました。

芯材も先ほど裁断した革と同じ形状に裁断します。

シンナー臭でクラクラします

てっきり両面テープとかで貼り合わせるのかと思っていたらゴム糊を用意していただけました。

ゴム糊の適量がわからん

革と芯材、両方の接着面にゴム糊を塗ります。
どれくらい塗ればいいのかわからないので聞いてみます。

職人さん「糊?そりゃ適量よ」

適量ですか、そうですか。

塗ったらそのまま乾かします。ゴム糊というのは乾燥させてから貼り合わせることで強度が出るんだとか。両面に塗るってことも大事、というか絶対なんですと。

乾かす時間が分からないので聞いてみます。

職人さん「乾燥?そりゃ塗った量にもよるだろ」

ごもっとも。

職人さん「まぁ塗りすぎるくらいなら「塗り足りないかな?」ってくらいの方がいいな。指で触ってベトベトしてたらまだ乾燥が足りない。ペトッとしてるくらいまで乾かせばいいよ」

というわけで色々教わりながら乾燥を待ちます。

世の中には色んな道具があるもんだ

乾燥した2枚を貼り合わせてローラーでゴロゴロと圧着します。
というか、貼り合わせてから裁断した方が合理的な気がします。

職人さん「手順を考えてから作業するってのは大事だよな」

しかし、お借りする道具はみんな年季が入っています。何年くらい使えばこんな貫禄ある趣が出るんでしょうか。

形になってきました

貼り合わせた材料に穴を開けます。元のストラップに空いていた穴の大きさを参考に、それよりも若干小さいサイズで開けてみました。
穴が空いたら切り込みも入れておきます。

最終段階

できあがった補強用の革とストラップの革部分の裏側にゴム糊を塗って乾燥させます。
乾燥したら貼り合わせてローラーでゴロゴロと圧着。

元の状態と比べると厚みが倍くらいになりましたが、強度も倍以上になったのでヨシとします。ただロックピンを使おうと思ったらメーカーを選ぶかもしれません。
まぁ使わないんですけど、ロックピン。

職人さん「接着剤で貼っただけだから剥がそうと思えば剥がれちまうぞ。剥がれないように周囲をミシンで縫ってやろうか?」

ありがたいお申し出ですが、せっかくなのでこのまま使ってみようと思います。プロから見たら稚拙な出来映えだと思いますが、このままの方が新しく購入したストラップに愛着が湧くような気がしますので。

そうそう、場所と道具と材料をお借りできたのでまたストラップピンクッションを作ってきました。後ほどメルカリの出品を再開しておきますのでよろしければどうぞ。

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