初めてのギターの選び方

最初の1本は見た目で選ぶ

いきなり結論を書いてしまいます。見た目で選べばいいんですよ。
「かっこいい」とか「かわいい」とか「綺麗な色」とか、服やアクセサリーを選ぶのと何ら変わりません。それを身につけたいから、身につけた自分の姿を想像してワクワクするから選ぶんです。

そのギターを抱いた自分の姿を想像してワクワクするか。それが最も大事。
予算とかギターの造りなんかはその後に考えればいいです。

なぜ見た目重視か

ギターを買おうと決断して下調べをしてみると、音、造り、ブランド、世間的な評価・・・etc、色々な観点から「あれいいよ」「これいいよ」という話を聞くと思います。

いまは情報過多な時代ですからギター弾きの人もたくさんの情報を発信しています。
ギターを弾いている人のアドバイスはとても有り難いです。
でもね、「いい」なんて主観じゃないですか。個人差があるじゃないですか。
その人にとっての「いい」があなたにとっても「いい」のかは分からない。

ですので自分にとっての「いい」の基準を明確にしないといけないわけですが、そもそもこれからギターを始めようとする人が持っている「いい」の判断基準は限られた部分にしかありません。

「いい音」
「造りがいい」
「いいブランド」

最初の1本を選ぼうとしてる人がそんなの判断できませんよね。
自分で判断できるのは、「見た目」です。初心者でも素人でも自信を持って判断していいのは「見た目」の好みなんです。

見た目重視で買ったギターが「いい音」なのか、「いい造り」なのか「いいブランド」なのかは、2本目3本目のギターを買う頃に判断できればいいんです。
2本目3本目を買うくらいまで長続きするために、最初の1本は見た目重視で選ぶといいですよ。

誰かが「いいよ」と言うので買ったギターと、自分がいいと思って買ったギター。
長続きするのは間違いなく後者です。

迷ったらカッコイイ方を買っちまえばいいんです。可愛い方を買っちまえばいいんです。綺麗な色の方を買っちまえばいいんです。

エレキかアコギか

エレキギターとアコースティックギターの違いはお調べいただくとして、最初の1本にはどちらがいいのかというお話です。

弾きたい曲が決まっていたり、コピーしたいアーティストが決まっていて、それにはアコギじゃなくちゃ、というのであれば話は別です。昨今だとあいみょんね。
見た目重視で決めたのがアコギなんだよと言うのも話は別です。

そうでないのなら、どっちがいいかなと迷っているのであればエレキをお勧めします。

ちなみにエレキもアコギも基本的には弦が6本、チューニングも同じなので最初に覚える必要がある基礎的な内容も一緒です。

エレキを勧める理由

ギターを初めて一番最初に躓くのが、弦を押さえることによる指先の痛みです。

「そんなのすぐに慣れるじゃん」とか「根性で我慢すれば大丈夫」なんてのは確かに正論なんですが、それはすでにギターが弾けるようになったから言えるセリフ。
初めてギターに触れる人にとっては深刻な悩みですし、今も昔も変わらずこれが理由でギターを諦める人が後を絶ちません。

エレキとアコギの弦の太さの違い

エレキギターとアコースティックギターでは使用する弦の太さが異なります。双方で使用される弦の中で標準的とされている弦の太さを比べてみると

  • エレキ弦 レギュラー(ライト)ゲージ 0.10~0.46mm
  • アコギ弦 ライトゲージ 0.12~0.53mm

数字だけ見ると僅かな差ですが、弦の太さに於いては0.01mmは結構な違いになります。たった0.01mmの違いの間で、場合によっては0.005mmの違いの間で「どっちがいい」なんて悩んだりします。

エレキ弦で0.12~0.53mmのものはヘビーゲージと呼ばれるかなり太いタイプの弦に相当します、アコギ弦で0.10~0.46mmは最も細いタイプの弦に相当します。
エレキの標準はアコギの一番細いタイプ、アコギの標準はエレキの結構太いタイプになるわけです。

エレキ弦には更に細いタイプ、0.09~0.42mmや0.08~0.38なんてものもありますので、指先の痛みで躓かないためにアコギよりも弦が細いエレキギターをお勧めします。

前述したようにある程度弾いていると指先が順応してきます。皮が厚くなるというか神経が鈍るというか、要するに慣れてくるんです。
最初はエレキで指先を作っておいて、その後アコギに持ち替えるというのもありだと思います。
いきなりアコギよりエレキからアコギなら指先の痛さはかなり軽減するはずですので。

余談ですが、ギターを弾く人の中には「太い弦=男らしい」「細い弦=女々しい」という時代錯誤も甚だしい考えを持っている人が一定数います(嘘だと思うけど本当にいるんだよこれが)

そういう人はきっと「一度でいいから細い弦を張ってみたかった」との想いを抱きながら人生を終えていく可哀相な人ですので「見えない敵との戦い、お疲れ様」と労ってあげましょう。

メーカーから細い弦が売られているんですから、指が痛けりゃ細い弦に張り替えればいいんですよ。我慢してギターが嫌いになったんじゃ元も子もありません。

エレキはヘッドホンで弾ける

アコギはその性質上から生音が大きいです。その生音が魅力ではあるのですが、自宅で練習する際は家族やご近所への騒音となりかねません。
かといって勘違いして欲しくないのは「エレキはアンプを通さなければうるさくないから」、という理由ではないんです。

生音でエレキを弾いてもたいした練習にはなりません。エレキはアンプを通して音を出して練習しないと上手に弾けるようになりません。
なのでエレキも家族やご近所の迷惑になりかねないのですが、最近のアンプのほとんどにはヘッドホン端子が付いています。ヘッドホンを通して練習すれば軽く静かに弦を弾くだけで増幅された音が大音量で耳に届きます。その大きな音は自分の耳以外には届きません。

アコギにもマイクが付いているモデルがあったり、別売りのマイクを付けてアンプを通してヘッドホンから音を出すことも可能ですが、生音は響いてしまいます。

少しずつでいいから毎日練習するという目標に於いて、昼夜を問わず気兼ねなく練習できる環境は必要です。
そういう意味でもエレキギターをお勧めします。

最初の1本としては買わない方がいいギター

買うなとは言いません、前述したように見た目が気に入ってしまったのであれば仕方がありませんが、できれば最初の1本としては買わない方がいいんじゃないかなぁと個人的に思っているギターです。

ミニギター

普通のギターより一回りか二回りほど小さいサイズのギターです。
小学校低学年くらいまでの小さなお子さんへのプレゼントや、ギターを持って世界を放浪するなんて用途以外に小さいギターを選ぶメリットが見当たりません。

「小さいから弾きやすい」という評判も見かけますが、小さいギターは弾きにくいです。身体に合ったサイズが最も弾きやすいと思います。

多弦ギター

ギターの弦は普通6本です。教則本やYouTubeのギター動画などほとんどの場合で6本であることが前提で話が進みます。

ところがギターの中には多弦ギターと呼ばれる6本以上の弦が張られているものも存在します。これらの7弦・8弦・9弦ギターは6弦が弾けるようになってからチャレンジでも遅くはありません。

ロック式トレモロ搭載のギター

ロック式トレモロとは?をこの場で文章だけで説明するのは困難なので「フロイドローズ」で検索してみてください。

一般的なトレモロブリッジと比べてチューニングが狂わないという圧倒的なメリットを持っているのですが、そのメリットを活かすために弦交換の手順がとても面倒くさいです。

見た目がゴツくて格好良いんですが、煩わしさ・面倒くささは練習する時間や意欲を削ってしまいかねませんから、そのメリット・デメリットを理解した上で2本目・3本目のギターとして選んでも遅くはないんじゃないかと思います。

初心者向けのギターってあるの?

これからギターを始めようとする人へ、なんて言葉をよく見かけますよね。あれって何を根拠に初心者向けと言っているんでしょう?

メーカーがよく言うのは「ネックが細い」とか「ネックが握りやすい」っていう理由です。
でも細いから握りやすいというのは初心者向けの理由として安易だよね。手の大きさや指の長さなんて人それぞれじゃない?
メーカーは初心者の手のサイズは皆同じだと思っているのかしら?

「弾きやすい」って言葉は非常に魅力的だと思います。特に初心者の方には魔法のような効力を発揮します。「弾きやすいですよ」なんて言われると飛び付きたくなってしまうんです。

でも弾きやすいかなんて感じ方は人それぞれ。弾きやすさを決定打にギターを購入する意味は無いんじゃないかと思うんです。

お店なんかがよく言うのは「お求めやすい価格で」って理由です。これも安易じゃない?
懐具合は人それぞれだし、オッサンの経済力なめんな!って話だよね。

安いギターだから気軽に購入できるってのは分かるんだけど、それがなんで初心者向けに繋がるんだろう。
安いんだからすぐに挫折してギターが無駄になっても後悔しませんよ?ってことでしょうか。

だったらちょっと無理してでも高いギターを買って「無駄にしないためにも挫折できない」ってほうが初心者にはいいんじゃない?

長々と屁理屈を書き綴って申し訳ありません。簡単にまとめると

「初心者向け」は売る側に都合の良い言葉であって、「買う側」の初心者はこの言葉に惑わされる必要は無いんじゃないかと思うんです。

私はお安いギターが好きなので、いままで「初心者向け」と言われる価格帯のギターをたくさん所持してきましたが、弾きやすさとか握りやすさという観点で「これは初心者向けだな」と思ったものは1本もありません。
ギターそれぞれに個性がありますが、初心者向けという個性に巡り会ったことはありません。そんなもんです。

まとめ

楽器屋さんの店頭で長時間悩んでいる私と同世代と思わしきご夫婦(たぶん)の姿を見かけたときに、

あまり悩んでも正解なんて後になってみないと分からないんだから、とにかく見た目が気に入ったものを選んじゃえばいいんだよ。

と声を掛けて差し上げたかったのですが、まぁご迷惑だろうなと躊躇したのをキッカケにこの記事を書きました。

誰かの役に立てるなんて烏滸がましいことは考えていませんが、迷っている人の背中を僅かに押してあげることが出来たなら幸いです。

押されて飛び込んだ先が天国か地獄かは分かりませんが、ギター天国もギター地獄も当人の気持ちの持ちようでそう大差はありませんからお気軽に飛び込んでみてください。

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